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私たちは東京大学民族愛好会の二年生と三年生で構成されているグループです。ホームページに載せる文章ということなので、今回は紙面の都合上プログラムに書ききれなかった曲への熱い思いを述べていこうと思います。ご来場になられた方はプログラムと一緒にこのページを参照するとより楽しめるかもしれません。

 今回私たちが演奏するのはPajarillosとSobreviviendoの2曲です。ということで一つ一つ触れていきたいと思います。
 まずPajarillosですが意味としては「小鳥たち」だそうです。小鳥というと日本人はスズメあたりを思い浮かべるのでしょうか。ではアンデスの地域で小鳥と言うと何を思い浮かべるのでしょうか。気になった方はGoogleなどで「pajarillos」と打って画像検索をしてみましょう。非常にカラフルな鳥がたくさん出てくると思います。このような鳥たちの生きているアンデス地域の自然を想像しながら私たちの聴いていただけるとよいやもしれません。
 ところでこの曲には途中でjoropoと呼ばれるメキシコやコロンビアなどの中米から南米北部にかけて親しまれているリズムに切り替わります。さきほどはアンデスの自然、と一口に言ってしまいましたがこの曲は大小さまざまな生物が生きる森林地帯でしょう。現代人が都市に住みこうした自然からは距離的には離れてしまったかもしれません。しかしそれでもなお私たち人間は自然を求める心を失っていないからこそ、小鳥たちの歌声に耳を傾けることで川のせせらぎや風に揺れる木々へと思いを馳せられるのではないでしょうか。そのような情景を思い浮かべられるように演奏したいと思います。
 もう一曲のSobreviviendoに移りましょう。この曲はアルゼンチンのアーティストVictor Heredia(ヴィクトル・エレディア)が作詞作曲を手掛けた曲です。曲名をあえて英訳するならばSurvivingです。したがって日本語の「生き残る」と「生き抜く」という二つのニュアンスがこのSobreviviendoというタイトルから読み取ることができるでしょう。この曲は歌詞の翻訳(パンフレットに歌詞が載ると思います)を見ると反戦の曲だということが直ちに読み取れると思います。ではこの歌の歌詞をより理解するために一度戦後のアルゼンチンの歴史に目を向けてみましょう。
 中南米全体は、スペインからの独立後軍人によるクーデターが頻発していました。アルゼンチンもその例に漏れません。戦後40年間で18回政権が交代しましたがそのうちの10回は軍人によるクーデターです。また民主制に移行しても民主主義が成熟していないことや政府の政策を実行する有能な官僚集団ができあがっておらず、経済や政治の混乱が引き起こされました。アルゼンチンは軍人のクーデターや経済的な混乱が続いていたのです。
 軍や警察は当時、人々を突然逮捕状もなく連行し、連行された人々の多くは行方不明となりました(これを「汚い戦争」と呼ぶそうです)。いつ自分や自分の恋人や家族が消えてしまうかもわからない日々の中で人々は生き抜いていたのです。
 現在のアルゼンチンは民主主義政権のもとで安定した政治がなされています。しかし現在の民主主義政権は以上のような抑圧の歴史、およびそれを乗り越えた人々の努力や犠牲の上で成立しました。生き残った現代の私たちは当時を生き抜いてきた人々があって生きている、というメッセージがこの曲のタイトルに込められているのかもしれませんね。このような強いメッセージ性のある曲を私たちが演奏する機会があるというのは喜ばしいことです。現代の日本に生きる私たちなりの思いを込めつつ演奏したいと思います。

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